不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られた。無縁だった三人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める。比類なき犯罪小説、待望の文庫化。
| 最悪 (講談社文庫) | |
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<感想>
普通の生活をしているうちにはまったく接点のなさそうな三人が、それぞれの立場でだんだん追い詰められていき、ついにはその人生が交錯するという状況を非常にうまい書き方で描いている。
その追い詰められ方がまたなんというか、読んでいてこっちの胃が痛くなってしまうくらいどうしようもない状況にズブズブとはまっていってしまうところがすごい。特に町工場のおやじが周辺住民ともめるくだりとか、性格が暗くて訳のわからない行動を取る若い従業員の扱いに困るところとかはリアルにありそうな話だし、その過程でだんだんと追い詰められてついに銀行の人が来た時に錯乱した行動を取っていくところも恐ろしかった。
またもう一人の主人公である若者が悪の道にはまっていくところは、案外現実の世界でもこういう感じなのかもしれないとも思った。
終盤、この三人(+一人)が行動をともにするところがおもしろい。普通に考えればありえない行動なのだが、この状況では確かに一緒に行動するしかないよなあ、と思わせるシチュエーションになってところがいい感じである。願わくば御殿場だけでなく、もう少しこのメンバーでここからの行動があればよりおもしろかったと思う。
文庫で650ページほどのかなり分厚さではあるが、その分量を感じさせない面白さ。その分細かいところの書き込みが見事で、それが終盤の展開に無理がないようにつなげているように思った。
















